今回は、框戸の製作にとりかかります。
ほぞとほぞ穴の設計
ほぞ穴は三分ノミで加工するため、ノミの幅にあわせて9mmに設定。
今回、硬い広葉樹(ブラックチェリー)を使っているので、ほぞ穴とほぞの縦の長さは同じに設定してます。
厚さ4mmのチェッカーガラスをいれて、8mmの縁で押さえる構造にするため、框の内側を12mmの段欠き加工します。
ほぞ穴の墨付け
はじめにシラガキと止型スコヤを使って墨付けをしていきます。
鉛筆で墨付けをすると、加工若干の誤差が生じてしまうので、精度を高めるためにはシラガキを使った墨付けをおすすめします。
ほぞ穴の幅は、加工する時のことを考えて3分ノミの幅(9ミリ)にあわせて設定しています。毛引きをノミ幅になるように設定すると、簡単に同じ幅での墨付けができます。
ほぞの加工
ほぞをきちんと組むためには、精密な加工が必要です。今回のキャビネットの制作で一番加工が難しいところだと思います。
そこで、今回、ノコギリの「縦引きガイド」を使って加工を行いました。このガイドは、電動工具を使わない「杉田式ノコギリ木工」を推進されている杉田豊久さんの著書「手工具とジにグで実現する木組みの完全テクニック」で紹介されているものをもとに作成したものです。
このガイドは、表面に貼り付けた磁石シートにノコギリをつけることでまっすぐにカットすることができます。また、板やアクリル板などを挟むことで、カットする位置を調整できる構造になっていて、紙を挟むことで、1mm以下の微調整も可能です。
きれいに縦引きのカットができました。
次は、ほぞの横引きカットです。ほぞの4つの面がきちんとあっていないと隙間ができてしまうので、このカットも精度が必要です。
そこで、L字に組んだ木片に磁石シートを貼っただけの簡単なジグを使って加工しました。墨付けをしていた線にシラガキをあてて、そこにジグをあててカットの位置をあわせます。
簡単なジグですが、磁石にノコギリをくっつけてカットするので、まっすぐにカットできます。
ほぞ穴の加工
ほぞの長さが30ミリなので、深さ31ミリの穴をほります。
これをすべてノミだけで掘るとかなりの労力です。
そこで、あらかじめ径が7ミリのドリルで2個所穴をほっておきます。
ほぞ穴は、ノミの幅(9mm)にあわせてますので、残りの部分をほっていきます。
ほぞとほぞ穴に白ボンドを塗って、クランプで接着します。
チェッカーガラスをいれる段欠き加工
今回制作する框扉は、チェッカーガラスをいれるので、そのための段欠きをしていきます。先にこの加工をしてから框を組んでもいいのですが、その場合、縦框と横框で少し段差が生じてくるかと思い、組んだ後に加工してみました。
縦框と横框で幅が違うため、ガイドからの幅を慎重にセッティングします。写真にはありませんが、何度か余った材で削ってみて、調整をしてから加工してます。
トリマーで削りすぎないよう気をつけて、角の部分は最後にノミで削ります。
深さが12ミリなので、トリマーで3mmづつ、4回にわけて加工しています。かなりの手間がかかってしまいました。
ガラスを押さえるための縁です。本来は、框と同じブラックチェリーがいいのですが、ホームセンターで売られているヒノキの工作材でちょうどいいサイズがあったので、これにチェリーの塗装をしています。
トリマーで削りすぎた部分など、多少の失敗はあります。また、今回、「縦引きガイド」づくりから始めたため時間はかかりましたが、なんとか作製できました。
次回は、この框戸にチェッカーガラスをいれていきます。